大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(ラ)617号 決定

被告は医師として社会的経済的優位に在るに反し、原告は山村の貧農の寡婦であるため、本件を大阪地方裁判所で審理される場合に原告の被る損害は、本件を原裁判所で審理される場合に被告の被る損害に比し真に大であると主張するけれども、たとえ右訴訟を原裁判所で審理するとしても、原告がその請求を維持するためには、被告の過失、被告の行為と被害者の死亡との間の相当因果関係、財産上の損害の発生及びその数額等の係争事実を立証する必要のあることが記録上看取せられ、そのため本件不法行為地でありかつ被害者の生前の勤務地であつた大阪地方裁判所管轄区域内に人証その他の証拠方法を求めなければならないことが予想されるので、原告の先ず支出すべき費用がそれほど軽減されることにもならないから、抗告人主張のような事情があるとしても、本件訴訟を大阪地方裁判所に移送することにより著しい損害を避けることができるものとする当裁判所の判断を、動かすに足りない。

(斎藤 坂本 小沢)

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